グリンゴッツ論

グリンゴッツ銀行.
魔法世界唯一の銀行である.
ダイアゴン横町にも支部(若しかしたら本部?)あり.
世界中にあるのだろう.


入り口に,

見知らぬ者よ入るが良い 欲の報ひを知るが良い
奪ふばかりで稼がぬ者は やがては附けを拂ふべし
己の物には非ざる寶 我が床下に求める者よ
盗人よ氣を附けよ 寶の他に潛むもの在り

という警告文がある.
...謎の多いグリンゴッツの考察である.


グリンゴッツは共同金庫ではないか

グリンゴッツは,それぞれの金庫に金が堆(うずたか)く(?)積まれており, 殘金調査は甚だ面倒である.
利子を付ける方式ならば,
「グリンゴッツ銀行」の金庫に何億何十億と入れておき,
利用者と預金額の書類を保管しておけばいいのである.
此なら利子を付けるのも遙かに簡単である.
金額を書類にしておき,利子を各金庫に入れることも出来なくはないが,
魔法を使っても時間がかかりそうだ.
よってグリンゴッツは,銀行ではなく共同金庫である可能性が高い.


共同金庫ならばどう収入を得ているか

前論より,グリンゴッツは共同金庫である可能性が高い.
となると,どう収入を得ているのか.
グリンゴッツでは数多(あまた)の小鬼が働いており,
ビルの様な人間も働いているのだ.
其の給与も馬鹿にならない.
考えられる事としては,金庫使用料(累進徴収制)と外貨換算時手数料である.
魔法界の人は皆利用していると思われるので,
金庫毎に使用量を徴収すればそれなりの収入になるだろう.(この場合は窓口で払うことも可能.)
同じく外貨換算時に手数料をとれば,収入は入るだろう.
(法外な水増し換算も考えられるが,公器(と思われる)たるグリンゴッツだ.其の様な事はないであろう.(そう信じよう.))
後は貸し附けと政府からの援助金だ.
此処が倒産すれば皆路頭に迷う事となる.
政府予算の1○%はグリンゴッツ補助金なんて事になっているかも知れない.


グリンゴッツは上部マントルに在り!!....色々と大変

ルビウス曰く,グリンゴッツは地下数百キロの処にある.
この言葉が正しいならば,間違いなくマントルの中だ.
こんな処まで掘り進められるのだから,魔法の力は相当なものなのだろう.
さて,此処まで掘り進める必要,いづくにかあらむ.
30キロ位で十分事は足りるのではないか.
考えられる事としては,「マグルに発見されないように」しかない.
しかしマントルの奥深くまで掘る必要はないが...
兎に角グリンゴッツはマントルにある.
ルビウスの言葉は(多分)正しいので,それは間違いないだろう.
ただ,魔法を使ってまで地下に掘る必要があるのか.
地上に立てては拙いのか.
地下に作った場合,色々と大変だ.


まずマントルまで掘る.皆生活がかかっていて暇ではないので人件費必要.

掘った土の廃棄.人件費必要.

次に其処に建物を建造.人件費必要.

そして忘れてはならないのが温度を下げること.
1000度以上の高熱では人は入れないし,
金品が熱に溶ける.人件費必要.

空気の確保もしなければならない.人件費必要.

地下だから地震も起こる.
それを防がなければならない.人件費必要.

マントルの対流
(マントル内に緩やかな暖流があり地殻変動を起こしているという説.A・ホームズらが提唱.)
を正常にしなければならない.人件費必要.

遮られてしまう地殻への地熱も補わなければならない.人件費必要.

とまあ魔法を使うにしろ色々と大変なのだ.
効果が切れたら大変だから定期的にかけ直さなければいけないかも知れない.
人件費必要.

しかしこれだけではない.
マントル内には絶対に存在しない,
鍾乳洞や地底湖を作らなければならない.
人件費必要.


ハッキリ言って,政府の金食い虫.
魔法はタダだが人は無料じゃない.
とんでもない予算がつぎ込まれているのではないか.
前論の最後に書いた,「政府予算の1○%はグリンゴッツ補助金」も,
強(あなが)ち嘘ではないのかも知れない.
いや,ん十%かも...


何故作った.そして何故受け止めている

前論の様な大工事だ.
作ることとなれば莫大な金額になる.
魔法界の人たちも楽ではない.
貧富の差もあるし,社会問題だってある.
皆平等で平和に仲良く暮らしている訳ではないのだ.
で,作るとなれば税金が使われる.
これは資本主義国家なら何処でも一緒.
(社会主義に関しては自分は統制経済であるという知識しか持っていないので,詳しい方,おられましたらお教え下さいませ.)
「地上に作ったら盤石の警護を布けばいいだけなのに,
何故そんなことをする.税金の無駄遣いだ!」
と抗議が起こったことは想像に難くない.
そして今も巨額の運営費がかかっている.
なのに何故住民は容認しているのか.
考えられる事としては,成田闘争の時と同じように人命が失われ,
その事を口にするのはタブーとなっているのか.
それとも,皆が「出来たものはしょうがない.
税金が使われようが使われまいが生きてられればいいや」みたいな考えを持っているのか...
(後者はまずないだろう.)
それ以前に何故作ったのか.

考えられるのは,
為政者の気まぐれで設立が決まり,
お上の権限で反対者を一掃して強行したか,
昔何らかの理由で出来たものを再利用した,だ.
例えば地下牢.金庫は昔独房だったかも知れない
王の墓.警告文をそのまま使っていた場合はその可能性がある.
(しかしその場合魔法世界の人たちは歴史遺産なんて気にしないということに)
(実はこのグリンゴッツ.
エジプト支店では,呪いがかけられている.
きっとエジプトでは後者なのだろう.
しかし何が悲しゅうて銀行が呪われなきゃならんのだ. )

...こんなところだろうか.
いずれにせよ,維持費が大量にかかっていることに間違いはない.
いや..もしかしたら維持している人は公務員で,安月給でやらされているのか?
しかしエジプトにもあるのだから,
日本にだって米国にだって露西亜にだって支那にだって在るだろう.
矢張りそれだけ賄わなければならない...
「グリンゴッツ反対!」と声が挙がるのも時間の問題かも知れない.


何故鍾乳洞と地底湖が...それは雰囲気営業にある

グリンゴッツには,
何故か鍾乳洞と地底湖がある.
マントルにそんなものがあるわけがない.
人造なのだ.
詰まるところ不必要.つまり税金の無駄だ.
雰囲気が怖くなる効果しかない.
他にも,
「空気は益々冷え冷えしてきた.」
「陽の光にパチクリしながら.」
温度を下に行くほど下げている.
明るくしていてもいいのに薄暗い明かり.
また,
トロッコで風がぴゅうぴゅうと顔に当たっている.
数百キロ下に行くなら相当の速度. ぴゅうぴゅうではない.
つまりすこし風があたるようにしているのだ.
色々魔法をかけて数千キロで突っ走っているであろうに,
グリンゴッツは怖い雰囲気を出すためにこんな事をしているのだ.

鍾乳洞
地底湖
下に行くほど寒くなる
薄暗い明かり
中途半端に風をのこす

以上5項目の雰囲気設計&雰囲気営業.
しかし国民にその事を聞かれて,
「怖い感じがするから強盗が減ると思う.」
などとは口が裂けても言えない.
一体政府当局はどう対応するのだろう.楽しみだ.


お客を怖がらせて自分は臆病

今まで書き連ねたように,
あの手この手で怖い雰囲気を出すグリンゴッツ.
だが,自分はかなり臆病なのではないか.
何百km下なのだから,
時速何千kmとか出さないと行き着くまでに日が暮れてしまう.
其れくらいの高速で狭い坑道を突っ走ったら,
押された空気で大爆音ががする筈だ.
其れは魔法で除去している.
また,音速を超えた際発生する衝撃波も消している.
トロッコも壊れないようにしている.
当たり前だが,客は怖がらせても殺してはいけない.
で,強盗は嫌なので精一杯怖がらせる.
その為なら税金だって使う.
客の要望も簡単には答えないことで威圧感を与える.
グリンゴッツに強盗が押し入った件で,
「これ以上詮索しない方が身のためです.」と言ったのは,
案外「強盗なんて来やしねえよ」みたいに考えていたら侵入されたので,
詮索されたくなかったから言ったのかも知れない.
また3巻では,極悪犯罪人シリウス・ブラックの金庫から,
不関知で金を出すことを許している.
以前,「小鬼が経営しているからでは」という考察があったが,
小鬼が経営していようが,それくらいのことは守ってもらわねば困る.
「ヒトたる存在」である以上,法律は守らねばならない.
それがヒトである.
守れないと言うなら動物になってもらうしかない.

兎も角この経営体制はいつか必ず破綻するだろう.


嵩む経費.今後の対応は

グリンゴッツの存在意義自体が薄くなる数々の判明.
これからグリンゴッツはどうなっていくのか.

ルビウス曰く,たった1つの銀行,だそうだ.
となれば銀行の民営化が認められていないのだ.
失策を認めたくない政府が民営化をしないのかも知れない.

しかしいつまでもは無理だ.
民営化のその日,
グリンゴッツは中央銀行として再出発するのだろうか.
それとも・・・


必要経費項目一覧

×マントルまで掘削.
×土の廃棄
△建物を建造.
△地上と同程度まで温度を急冷.
×(△?)火山ガス排出
◎空気の確保
◎二酸化炭素排出
△地震対策
△マントルの対流の正常化
△地殻への地熱の補完
△重力を1G化
△圧力を地上と同程度に
◎トロッコを時速何百kmに加速
◎トロッコの摩擦を無効化
◎トロッコ運行中の慣性の法則無効化
◎トロッコ運行中に空気が押された爆音を無発生に
◎高速移動による暴風の除去
◎トロッコの中の人にぴゅうぴゅう程度の風を当てる
◎音速を超えた際に出る衝撃波の除去
×鍾乳洞及び地底湖の制作或いは具現化(具現化の場合は△)
○点検及維持
◎呪いの除去
◎ドラゴンの餌
◎職員への給与

◎=絶対必要
○=常に必要
△=時々し直す必要ありと思われる
 ×=建設時のみ


多いッ!多すぎるッ!24項目!!!
まだあるかも.

兎も角金の無駄には間違いないのであった.

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