自分が使った教科書


平成8年検定 東京書籍「新編 新しい社会・歴史」

自分が使った教科書を改めて眺めると,変な記述がある.
ここでは自分が使った東京書籍の教科書について書くことにする.

先ず開けると,「人類の夜明け」と称して,アウストラロピテクスの想像図が載っている.
よしりんの「新・ゴーマニズム宣言」でも取り上げられていたやつだ
さらにページをめくると,さやかゆうたの会話がある.
この後も会話文や質問文があり,重要なところなのだが,それは後にしよう.
ここでは,「地球の誕生って,46億年も前のことなのね.」と言っている.
それは歴史ではない.
そもそも歴史の教科書にティラノサウルスはいらないと思うぞ.
生物学は生物の教科書でやってね.

さて,気を取り直してページをめくると,
人類の生活の始まりと日本のあけぼの」と称して,
チンパンジーの写真が載っている.
チ,チンパンジーは人類じゃないぞ!!
しかも横には,「木のぼりが得意なチンパンジー」とあり,更にゆうた君が,
チンパンジーの体は,どこが木の上で便利なのだろうか.ヒトの体はどのような生活に便利だろうか.」と発言している.
・・・知るか!骨格なんてどうでもいい.
これって歴史教科書なのですか.
生物の教科書を作ることをお奨めします.
後ですね,人類に一番近いのは,
チンパンジーではなくて,ピグミーチンパンジー(ボノボ)です.
似ていても違う種ですよ.

いかん.まだ変なところがあるが,ここらへんから離れよう.
時代を下っていっても,変なことが結構書いてある.
細かいことについては,専門の本を参照していただきたい.
大ざっぱに変なところを拾い出すと,
○縄文時代は貧富の差はほとんどなかった.:間違いです.
○古墳時代には「大和国家」が形成された.:大和朝廷じゃまずいのか?
○李舜臣が英雄.:朝鮮の教科書なら兎も角.
○朝鮮軍に加わった人達を,「義兵」とよぶ.:マスコミは,タリバンを否定しているのに,パキスタンからの兵を「義勇兵」と呼んでいたな.
○明も援軍のため国力が衰えた.:援軍送っただけで駄目になるくらい傾いていたって事では・・・
○一揆を大々的に取り上げて「民衆の力」とする.:特に江戸時代は,民衆が反乱したりしたら取り潰しの危機.訴えを聞くのは当たり前です,
○五榜の掲示を取り上げる.:これって何年かして全てなくなったんじゃ・・・一度に変えるのは無理です.
等々がある.

さて,近代に入ったのでもう少し具体的な話に戻す.
前述した質問文に話を移そう.
一目瞭然の変な質問が,近代になると出てくる.


当時のびらのコピー(上写真)が載せられ,
さやかが, 「鎖で縛られているのは何だろうか.」と言っている.
見ればわかるじゃないか.
同じく,ゆうた君も,
関東大震災後の写真を前にして,「写真から被害の大きさがわかるだろうか.」と言ったり
抗日運動の絵を前にして,「旗やのぼりには何と書いてあるだろうか.」と言っていたりする.
そして極めつけはこれ.


またまたゆうた君が,「壁には何と書いてあるだろうか.」と質問している.
だから見たらわかるって.
「日本ラ愛スルナラ戰爭ヲ止メロ」ト書いてある.
こんなの一々質問する必要があるのかね.
恐らく,「中国様は戦争を止めたがっているぞ」とでもいいたいんだろう.
でも支那事變が激化したのは,國民黨にも責任があるからね.

本文では,「さらに志願兵制度を実施し,朝鮮の人々をも戦場に動員した.」とあるんだが・・・
志願兵を募って戦場に送ったらまずいのかね.
また,「朝鮮人強制連行」というコラムでは,
抵抗する者は木刀でなぐりつけ,泣きさけびながらトラックに追いすがる妻子を上からけりつけたともいわれます.」とある.
ともいわれますなんていう不確かなことを教科書に載せないで貰いたいなあ.
因みにその下では,突如として先生が現れ,
自分が強制連行のような目にあったとしたら,どう考えるだろうか.想像してみよう.」と言っている.
そして戦争の終わりは,「開放を喜ぶ朝鮮の人々」で締めくくっている.

話は戦後に突入する.
ここで登場するのは,やっぱりゆうた君.
青空教室の写真を見て,
あれ,林間学校のようすかな.
そんなわけないだろうが.
これ,執筆者が子供の会話に見せようとして失敗した好例ですね.
いくらなんでも中2の子供はこんなことは言わないでしょう.
そして日本国憲法の話になる.
祝賀会の写真を前に,またまたまたまたゆうた君が,(こいつ,狙っているのか?)
p.206の絵と比べてみよう.
206頁の絵とは,大日本帝國憲法発布の絵である.
比べることに意味があるのか?
更にコラムでは,また突如として教師が出没し,
自由民権運動のときの民間の憲法草案がどんなものだったかを調べ,戦後の憲法草案と比較してみよう.
だから比較するなって.
「国民の勝利だ」と言いたいんだね,きっと.

最終章に突入する.
ここで取り上げるのは最後の最後.
最後の方になると,突如としてこの言葉が出てくる.
地球市民.
地球市民って何ですか.
自分の知る限りそんな変な言葉は存在しません.
市民とは,市に属する者.政府に対し権利を持つ者.市民階級の者を指しますが,
市民階級なんてもちろんないし,地球は市でなければ,連邦政府も存在しません.
そして最後に出てくるのは,矢っ張りというべきか,ゆうた君.
宇宙から見た地球の写真を前に,「宇宙から見た地球には,国境線が見えるだろうか.
見えるわけないだろうが.
絶対見えない.というよりも,地上でも見えないぞ.
つつつうぅぅぅぅっと線が引いてあるか?地面に?
「国なんて関係ない.みんなで仲良くしよう」ってことだろう.
しかし事実国はあるし,国によって倫理観は違う.
他の国から見て異常に思っても,其の国ではそれが日常だったりする.
地球の為とはいっても,その下地にあるのは母国である.
アフガニスタンと米国とで戦争をやっているが,この状況で,世界共通の利益ってなんだ.
戦争を止めることか?ちょっと違うと思うな.

最後に,「日本の戦争責任資料センター」というところの事務局長をやっている上杉聰という人物の著書の中で,(誰の文章かは不明)
「つくる会の教科書は,質問が提示されていない」.というようなことを書いてあった.
こんな質問いりません.
自分はこんな質問がとても必要だとは思えません.
そもそも教科書は「科を教える書」であって,「科を問う書」ではない.
教えるべき事を書いたら,後は教師の指導力と生徒の読解力の問題だと思うが.

まあ,色々書きましたが,もっと日本よりに書くべきです.日本の教科書なんですから.
以上,終わり.

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