ハワイ・マレー沖海戰

昭和17年12月3日公開 東寳映畫株式會社(東宝)
大本營海軍報道部企画 海軍省後援
監督・山本嘉次郎 特殊技術・圓谷英二 音楽・鈴木静一
伊藤薫 大河内傳次郎 黒川彌太郎 藤田進 進藤英太郎 原節子 他
DVD 定価6000円

個人的評価:★★★☆☆



ハワイ海戰(眞珠灣攻撃),マレー沖海戰の戦果を喧伝する目的で作られた国策映画
円谷英二のデビュー作.

最初から最後まで爽やか青春映画.
爽やかに豫科練で訓練を受け,ハワイ・マレーにて戦果をあげます.
アメリカがどうだとかいう台詞はほとんどありません.
戦闘シーンは,円谷英二が特撮を手がけた,本作の見せ場ですが,
矢張り,現代の映像技術を見慣れてしまっているため,見栄えはしません.
山間を飛ぶ所とか明らかにおもちゃ.
(とはいっても,自分は聖林がよくやるCG駆使の作品は好きではないです.)
因みに,本には1億人が見たとか書いてますが,
本当かどうかは知りません.はい.

まあ,色々書きましたが,
これはこれでよく出来ていると思いますよ.

主題歌は特にありませんが,既存の曲で確認できた挿入曲は,
ふるさと(アレンジ・BGM)
決死隊(斉唱)
海ゆかば−信時潔作曲−(BGM)
軍艦行進曲(ED)

尚,この作品が公開されたのは17年12月3日.
ミッドウェーの敗退から半年を経,
三度の攻撃も功を奏さず,ガ島の密林に多くの兵が取り残されていた時期です.


おまけ.
作中に出ていた,攻撃隊員への訓示の聞き取り.
実際は短かったらしいから,脚本の人が作ったのかな.

訓示
傲慢不遜なる宿敵米國に對し,
今やまさに開戰せられむ年.
此處に本艦隊は,廻旋激走,
敵艦隊をハワイに急襲,一擧に此を撃滅,
エンシン(?)にして米海軍の死命を制せむとす.
此實に,有史以來未曾有の大航空作戰にして,
皇國の興廢は,まさに此一擧に存す.
本壯擧に參加し,富國の重責を雙肩に擔ふ諸氏に於いては,
眞にシセイの光榮にして,
武人の本懷,なにものか此に優るものあらむや.
まさに勇躍挺身,君國に奉ずる絶好の機會にして,
此の感激,今日をして,またいづれの日にか求めむ.
さはいへ,本作戰は前途多難.
カンポウ(?)凛冽,怒濤狂瀾する大平洋を突破し,
長驅敵の牙城に迫りて,
乾坤一擲の決戰を敢行するものにして,
其の心算論(?),本より尋常の技に非ず.
此を克服し,克く勝利の榮冠を得る者,
いつに死中活を求むる,強靭カンギの拐~力に他ならず.
顧みれば,シュシ(?)多年のエンデンにより,
シショウ(?)の實力は既に練成せられたり.
今や君國の大義に際會す.
ショシ(?)十年兵を養ふは,
ただ一日,之を用ひむが爲なるを想起し,
以て,此重任に答えざるべからず.
今や國家存亡のカントウに立つ.
夫れ,身命は輕く○○を持ち,
如何なる難關もこれを貫くに,
盡忠報國の赤誠と,果斷決行の勇猛心を以てせば,
天下何事かならざらむ.
願はくは忠勇の士,同心協力,
以て皇恩のバンゲツに報ひ奉らむことを期すべし.
をはり.


ううむ・・・わからん言葉が多すぎる.
駄目だな,こんなんじゃあ.
辞書引いても載ってないし.
ところで,長駆とか皇恩とかがパソの辞書に入ってない.
一般用語じゃないのかなあ,もう.


50年経過し,著作権が消滅したため,
キャプチャ画像を載せておきます.


東宝の戦前のロゴ.バックに大東亜地図が.
時代を感じさせます.


七ツ釦は桜に錨


天皇と国とに尽くすべく


目指すはハワイ真珠湾


つんざく雲の切れ間より


忽ち砕く敵主力


嗚呼天佑のマレー沖

BGMは「ハワイ大海戰」
この映画とは関係ありません.


ハワイ大海戰

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