眠れ戰友
第十四旅團司令部 八木沼丈夫 作詞 村越國保 作曲
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唄 三島一聲
山溪々(たにだに)に 谺(こだま)して
凱歌は闇を 撼(ゆるが)しぬ
捷(か)ちしと思ふ 歡びも
仆(たふ)れし戰友(とも)を 偲ぶとき
血汐は沸(たぎ)つ 敵の慘(ざん)
呼べど還らぬ 遺骸(なきがら)を
圍(囲)みて今宵 夜もすがら
盡(尽)きぬ名殘りを 惜しむかな
眠れ我が友 安らかに
あゝ戰ひは 勝ちにけり
焔(ほのほ)は移る 枯柴に
火群(ほむら)が中に 照り出でし
戰友が柩を 眺めては
生き殘る者 聲(声)呑みて
熱き涙に 咽ぶかな
わが益荒男(ますらを)は 今ぞ今
焔は天に 耀(かゞや)きて
功勳(いさを)も高き 亡き友の
英魂天に 歸(帰)る夜か
月下の陣に 音絶えね
友を葬(ほむ)りし 夜は更けて
澄み極まれる 空の下
敵が據(拠)りにし 長城は
山越え走り 嶺傳ひ
月の下びに 浮き出でぬ
あゝあゝ今宵 吾らのみ
生きて想へば 一年(ひととせ)を
東邊道の 賊を撃ち
大興安の 嶺越えて
幾たび敵と 戰ひし
勇ましかりし 面影は
わが眼底(まなぞこ)に 殘れども
敵追ひ迫る 山原(やまばら)に
斃(たふ)れて空し 遺骸は
焔となりぬ まのあたり
あゝ東(ひむがし)に 茜さす
新戰場の 朝ぼらけ
立てる白木の墓標(はかじるし)
君が遺骸を 護りつゝ
今日殘敵を 追ひ撃たん
眠れ戰友 安らかに
こゝ長城の 山の上
東洋平和の 國柱
燦々たりや 日の光
君が名 永久(とは)に言ひ繼がん
草蒸す屍(かばね) 東の
日出ずる國の 武夫(ものゝふ)は
生くるも死ぬも 大君の
御楯(みたて)とならん 代々かけて
護れ われらが聯隊旗
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